成年後見制度の活用と信託 (信託その⑧)

認知症等により本人の判断能力が低下した場合、不動産の管理・処分や預貯金の払戻し等の法律行為が行えなくなります。現実的には同居する家族などが本人のキャッシュカードを預かって、ATMでお金をおろしながら生活を回しているというケースもあると思いますが、金銭の使途について他の家族との間でトラブルになるというケースも多いわけです。

成年後見制度を利用すれば後見人が不動産の売却や預貯金の払戻しをすることになりますが、成年後見制度はあくまで本人のための制度ですので、生前贈与や古家の建て替え、不動産処分後の財産の運用といった行為は原則として行うことができません。

信託を活用することにより、本人の判断能力の低下に備え、健康なうちから財産をどのようにするか決めることが可能となり、本人の判断能力が低下したとしても本人の意思能力の有無に関わらず受託者は信託の目的に従い手続きを進めることが出来ます。

また成年後見では後見人が財産を包括的に管理することになりますが、信託にはどの財産を信託財産とし、どの財産を固有財産として残しておくかを自由に選択できるという柔軟性があります。ですので例えばA土地・B建物は信託の枠組みの中で管理・運用・継承されていき、信託財産としなかったC土地は相続財産として遺言書や遺産分割協議で相続する ということも可能です。

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