遺言能力(遺言書)その①
民法は「15歳に達した者は遺言をすることができる」としています。そして未成年者の法律行為の規定(民法5条)、成年被後見人の法律行為の規定(民法9条)、保佐人の同意を要する行為等の規定(民法13条)、補助人の同意を要する旨の審判等の規定(民法17条)は排除されています。これは端的に書けば「遺言は代理等の行為に馴染まないもので、本人の意思を最大限に尊重しなければならないものですよ」という理由に拠ります。
そうは言っても、遺言の内容および当該遺言に基づく法的効果を弁識、判断するに足る能力(これを遺言能力といいます)を欠く遺言は無効です。成年被後見人については、事理弁識能力を一時的に回復した場合には遺言することができますが、その場合には医師2名以上の立会いのもと、遺言者が遺言時に事理弁識能力を欠く状態になかった旨を遺言書に付記して、これに署名捺印しなければなりません。
遺言能力の有無は、遺言時における遺言者の精神障害の度合い・遺言内容(複雑な内容かそうでないか)・遺言の動機や遺言に至る経緯が自然なのか、などの要素を総合的に勘案して判断されます。よって遺言能力の有無が争われる場合、すなわち遺言が有効か無効かの争いになった場合には、内容が複雑であればあるほど無効であると判断されてしまう可能性が高くなりますね。

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