信託とは その⑤(信託目的)

少し堅い話になりますが、信託契約書に信託の目的を定める条文を記載する際は、例えば「委託者の亡き後、委託者の妻Aの安定した生活資金の確保のために、さらにより良い老後の生活を送れるようにするために信託する。」「受託者による信託財産の管理・処分及び議決権の適切な行使により、●●株式会社の株主総会における適正な決議の成立(予算・決算の承認及び役員選任等)を通じて経営の安定化を図ると共に、円満円滑な事業継承の実現を目的とする。」等と定めます。信託の目的は、信託財産に対して受託者が持つべき理念や取るべき行動の指針になるもので、そしてその対象は必ず「受益者の利益」に結び付かなければならないのが原則であることに留意しておくことが極めて重要です。

ですので信託の目的に「将来発生する相続税の削減のため」「相続税の圧縮」といった文言を入れることは問題です。それらは相続人たる子供世代に対する利益誘導であって、信託受益者である親世代の利益にはつながりません。そもそも民事信託(家族信託)には原則として節税効果があるわけではないです。

信託を会社経営者や富裕層の方などの税金対策と捉えている風潮もありますが、税金対策は税金対策として税理士の先生の適切なアドバイスを受けるべきだと思います。

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