自社株式と事業継承(遺言書)
オーナー企業の経営者の株式(自社株式)について遺言書で定めていない場合、思わぬ問題が出てくることがあります。経営者である父親が全株式1000株を所有しており、法定相続人が子供2人(長男A・長女B)である場合には父親死亡後、子Aが500株、子Bが500株を所有するという準共有状態になります。
こうなると子Aも子Bも株式の保有割合が過半数を超えないため、2人の意見が一致しない場合 株主総会での決議ができない状態になり会社運営が滞ることになるわけです(この準共有状態を解消するには遺産分割協議によって株式の持ち数を決めなければなりません)。
ですので後継者が決まっている場合は遺言書によって『株式会社●●のすべての株式を遺言者の長男Aに相続させる。』というように自社株式の行き先を明示しておくことが重要です。
遺言書の話から少しずれますが 近年、中小規模の事業者は後継者不在問題に直面していることも多いです。そういった事業者に事業買収(M&A)を提案し、それで上手く事業継承できれば良いのですが預貯金を吸い取って事業は放ったらかしにするというように、『本当に事業を継承する気があったのか?』と思われても仕方ない『M&A詐欺』のような事案もあります。
いろいろ気を付けないといけない世の中になりました。
